ここでは、PlayStation PortableエミュレーターのPPSSPPの使い方を説明しています。
PSPのエミュレーターにはいくつか種類があるのですが、最も完成度が高く、一番利用が進んでいるPPSSPPを本稿では採用しています。
また、PSP本体を使用し、UMDのゲームを吸い出す方法も紹介しています。
PPSSPPは、数あるエミュレーターの中でも非常に高い完成度を誇っていて扱いやすく、また、最初から日本語に完全対応しています。そのため、熊八が日ごろから最も愛用しているエミュレーターになっています。
設定も簡単で初心者向けですので、エミュレーターの入門用としても最適になっています。ですので、まだエミュレーターで遊んだことがない方もぜひともチャレンジしてみてください。
2023年2月14日追記
私の環境でPS4コントローラーを認識しない不具合を確認しましたので、対処方法をおまけとして追記しました。
また、公式Webページのダウンロードページが一部変更されていたので、それにも対応しました。
2023年9月3日追記
DirectXランタイムをインストールしなかった場合、環境によっては音の出力にノイズが混じる現象が報告されましたので、インストール手順を追記しました。
2024年4月22日追記
手動での高画質化設定の方法を、おまけ2として追記しました。
最初に必要な機材をそろえます。箇条書きにしますと、以下のようになります。
このうち、PSP本体については、経年劣化でバッテリーパックが外された状態で売られていることも多いです。私の地元で調べた限りでは、ハードオフに互換品のバッテリーパックを付けた状態で多数売られていました。
私が使ってみた限りでは、互換品でも問題なく使えます。純正品のものはもう在庫が少ないみたいで、プレミア価格がついていることもありますので、毛嫌いせずに互換品のついたものを買いましょう。
メモリースティックについても、純正品はなかなか手に入りづらくなっています。そこで、こちらなどで買える、microSDカードの変換アダプタを買うと良いでしょう。
価格的にも安いですし、私が試した限りでは特に問題なく使えています。ただ、差し込んで最初にフォーマットという作業が必要になりますので、注意してください。
フォーマットは、PSP本体を起動して、「設定」→「本体設定」→「メモリースティックのフォーマット」でできます。
なお、吸い出すだけならmicroSDカードの容量はそんなに必要ありません。一番安価な8Gバイト程度のもので十分です。
接続ケーブルについては、間違いを避けるという意味でもこちらなどで買える、専用の転送ケーブルを購入すると良いでしょう。
実は、このケーブルは一般の家電量販店でも売っています。しかし、USB type B miniという、少し変わった規格のものが必要になります。一般的に売っているtype Bのものはmicroという種類になりますので、前提知識がないと非常に間違いやすくなっています。
ですので、知識に自信がない方は、無理せずに専用と銘打ってあるケーブルを買うようにしましょう。
なお、ここには書いていませんが、専用の充電器も合わせて買っておくと便利です。Amazonでも普通に売っています。ちなみに、なくてもUSBケーブルを使えば充電自体はできますが、充電速度が遅くなります。
ここでは、吸出し環境の構築の前準備として、システムソフトウェアのバージョンの確認方法とアップデート方法を説明しています。
最初に行うのは、ファームウェアと呼ばれるシステムソフトウェアのバージョン確認です。「設定」→「本体設定」→「本体情報」と進み、以下の画面を表示します。
「システムソフトウェア」の部分を確認してください。もしここが上記のような「バージョン6.61」になっていない場合は、システムソフトウェアのアップデートが必要になります。
以下にシステムソフトウェアのアップデート方法を記載しておきます。6.61になっていた人には必要ありませんので、読み飛ばしてください。
なお、2022年7月現在、発売元のSONYではPSPのサポートが終了しています。そのため、公式HPなどを用いたアップデートが不可能な状態になっています。
そこで、有志の方が作ってくださっているミラーリンクを利用したアップデート方法を説明しています。
まず、こちらにアクセスし、右上のダウンロードアイコンをクリックして「EBOOT.PBP」をダウンロードします。
ダウンロードフォルダに「PSP-Update-661.zip」というzip形式のファイルができていると思いますので、それをダブルクリックし、「EBOOT.PBP」を右クリックのメニューからコピーしておきます。
次に、PSPの本体を転送ケーブルでPCと接続します。この時、新しく入手したメモリースティックを入れている場合は、あらかじめフォーマットをしておいてください。再び書いておきますと、「設定」→「本体設定」→「メモリースティックのフォーマット」でできます。
接続が完了すると、USBメモリのようにPSPのメモリースティックの中身が見えていると思います。
きちんとフォーマットできていればPSPフォルダとGAMEフォルダができていますので、(PSPの接続ドライブ)→「PSP」フォルダ→「GAME」フォルダと移動し、「UPDATE」フォルダを作成後、その中に「EBOOT.PBP」をコピーします。
転送ケーブルを外し、「×」ボタンを押してメニュー画面に戻ったら、「設定」→「システムアップデート」→「記録メディアからアップデート」と進みます。なお、「ゲーム」→「メモリースティック」→「PSPアップデート ver6.61」でもできます。
画面の指示に従ってしばらく待っていると、アップデートが終了します。
ここでは、PSP本体を使った吸出し環境の構築方法を説明しています。
まず、こちらにアクセスし、右上の「DOWNLOAD」ボタンを押してダウンロードを開始します。なお、このときウザイ宣伝ウィンドウが開きますので、速攻で閉じてしまいましょう。
しばらくまっているとダウンロードが完了します。完了したかどうかは、ブラウザがMicrosoft Edgeの場合、右上に出てくるダウンロードアイコンを見ればわかります。
なお、非常に紛らわしいのですが、下記画面の左側のように、広告としてのダウンロードボタンが表示される場合もありますが、すべて偽物ですので、必ず画面の場所にあるボタンを押すようにしてください。
エクスプローラーを開き、ダウンロードされた「release_661lme2.3.zip」ファイルをダブルクリックして中身を表示します。そこにある、「release_661lme」フォルダの中の「PSP」フォルダを右クリックメニューでコピーしておきます。
接続ケーブルをつかってPSP本体をPCとつなぎます。そうすると、USBメモリと同じようにPSPのメモリースティックの内容が表示されますので、コピーしておいたPSPフォルダを、そのままルートフォルダに上書きコピーします。
コピーが完了したら接続ケーブルを外し、「×」ボタンを押してメニューを表示します。
PSP本体で「ゲーム」→「メモリースティック」と移動し、「LME Installer for 661」を起動します。なお、非常に紛らわしいのですが、ここには「LME Launcher for 661」というものもあります。必ず下側のInstallerとなっている方を起動してください。
しばらく待っていると以下のような画面が表示されます。画面の下から3行目に「Press X to Install modules.」と表示されているのを確認し、「×」ボタンを押してインストールを開始します。なお、画面に私の指が移りこんでいますが、完全に無視をお願いします。
しばらく放置しておくと、PSPが再起動します。これで吸出し環境は構築できました。
ここでは、PSP本体を利用したUMDのゲームの吸出し方法を説明しています。
PSP本体が起動した状態で、「ゲーム」→「メモリースティック」と移動し、「LME Launcher for 661」を起動します。なお、非常に紛らわしいのですが、ここには「LME Installer for 661」というものもあります。必ず上側のLauncherとなっている方を起動してください。
なお、この作業は、PSPを起動するたびに必要です。Installerは起動しなくて構いません。
また、スリープ状態からの復帰では必要ないようです。
PSPが再起動されますので、メニューが表示されるのを待ちます。
表示されたら「SELECT」ボタンを押し、以下の画面を開きます。
方向キーの上下で「USB DEVICE」のところまで移動し、左右のキーを使って「UMD Disc」を選択後、「SELECT」を押して確定します。なお、この作業は一回だけやっておけばOKです。
UMDを入れた状態でPSP本体とPCを接続ケーブルでつなぎます。そうすると、UMDの内容がISOファイルとして以下のように見えますので、適当な場所にコピーしておきます。ファイル名は最後の「.iso」の部分(拡張子といいます)だけいじらなければOKですので、分かりやすい名前に変更しておきましょう。設定によってはこの拡張子の部分は見えません。その場合は特に気にせずにファイル名を変更してしまいましょう。
なお、連続して吸い出す場合は、少し注意が必要です。
私が試した限りでは、USBケーブルを接続したままUMDだけを取り換えた場合、前のUMDの情報がまざった状態で認識されており、PPSSPPでの起動に失敗しました。
ですので、面倒でも一枚吸い出したらいったんケーブルを外し、UMDを差し替えてPSP本体が認識したのを確認してから再度接続しなおすようにしてください。
PSP本体が認識したかどうかは、メニューの「ゲーム」のところに「UMD」が表示されているかどうかで分かります。
DirectXランタイムと呼ばれるプログラムをインストールしておかないと、環境によっては音声にノイズが混じる現象が報告されたため、ここでインストールしておきます。
こちらの「ダウンロード」ボタンをクリックして、ダウンロードします。
ダウンロードしたファイルをダブルクリックすれば、インストールが開始されます。
ほぼデフォルトで良いのですが、一か所だけ変更をお勧めします。
上の画面が表示されましたら、「Bingバーをインストールする」のチェックを外しておきます。意地でもBingを使わせようとするMicrosoftめ・・・。おっと、心の声が漏れてしまったようです。
ここでは、エミュレーター本体のインストールと初期設定を行います。
こちらにアクセスし、「Windows」のところの「PPSSPP Free」の下側にある「Download PPSSPP Installer」をクリックしてダウンロードを開始します。
なお、画面上の「1.14.4」の部分はバージョン番号ですので、時間経過で若干変化します。
ダウンロードが完了したら、ダウンロードフォルダにある「PPSSPPSetup.exe」をダブルクリックしてインストーラーを開始します。
これはデフォルトのまま進めていけばいいのですが、最後の画面だけ変更したほうがいいでしょう。
「README.txt」の表示のチェックは外しておきましょう。英語が好きな人などであれば、そのままでも構いませんが。なお、実行するほうはお好みで構いません。
これだけでインストール作業はおしまいです。続けて初期設定に移ります。
スタートメニューに「PPSSPP」が追加されていると思いますので、それを押して起動します。
最初に行うのは、ゲームパッドの設定です。これをやっておくと、作業がゲームパッドでできるようになりますので。
なお、本稿おすすめのPS4コントローラーを無線接続している場合は、起動前にプレステボタンを押して接続してからPPSSPPを起動してください。そうしないと認識されませんので。
以下の画面が開きましたら、画面右の「ゲームの設定」を押します。
画面左の「コントロール」を押し、以下の画面がでたら「キーを設定する」を押します。
PS4コントローラーやXbox360コントローラーを使っている場合は、ほぼデフォルトでそのまま動作します。
しかし、PS4コントローラーを使っている場合は、一点だけ変更をお勧めします。画面を下の方にスクロールしていき、「一時停止」のところの設定です。
このボタンは、ステートセーブ(どこでもセーブ)などのメニュー画面を呼び出すためのものです。デフォルトではよくわからないボタンに設定されていますので、「一時停止」の右側の「+」ボタンを押してプレステマークボタンに設定しておきましょう。
なお、ずらずらと並んでいるボタン設定をクリアして設定したい場合は、「一時停止」のところを押せばOKです。
また、L/RボタンはL2/R2ボタンに割り当てられていますので、それが気持ち悪いと思ったら、その設定も変更しておきましょう。デフォルトの設定ボタンを消したい場合は、右の「×」ボタンを押せば消せます。
設定が完了したら、「戻る」ボタンを押してください。
なお、このままでもゲームパッドで操作して設定の続きが行えますが、デフォルトでは海外仕様になっており、「×」ボタンで決定になっています。ですので、そこも変更しておきましょう。
先ほどの設定画面を開き、左の「システム」ボタンを押します。
下にスクロールしていき、一番下にある「決定ボタン」のところを押して、「〇ボタンで決定する(日本仕様)」を選択します。
ここまでの設定でも遊べるのですが、お好みで設定した方がいいものも追記しておきます。
設定画面の左の「グラフィックス」を押し、少し下にスクロールして「フルスクリーン」のチェックを入れるとフルスクリーンモードで起動します。なお、ウィンドウモードとの切り替えは、「Alt」を押しながら「Enter」キーでもできます。
処理落ちする場合は、この設定を加えてみてください。フルスクリーンモードのほうが、処理負荷が若干下がります。
よほど非力なマシンでもない限りは、ここまでの設定でも問題なく動きます。私が試した限りでは、10年前(2013年モデル)のゲーミングノートでも問題なく動きました。
しかし、0.9GHzのCPUを採用したタブレットPCで実験すると、若干の処理落ちが発生しました。その場合は、以下の設定を追加してください。
「ゲームの設定」画面の「グラフィックス」にある、「オートフレームスキップ」にチェックを入れてみてください。これをしておきますと、処理しきれなかった画面の描画を省くようになりますので、多少スムーズに動くようになります。
また、高解像度モニタを使っている場合など、表示サイズを変更したい場合は、以下のようにします。
画面上のメニューバーにある「ゲームの設定」を押し、「ウィンドウサイズ」を選んでから、倍率指定でサイズを変更します。
なお、内部解像度などの高画質化機能は、デフォルト状態で自動調整になっていますので、特に気にしなくても大丈夫です。
内部解像度などの高画質化機能についてはDuckStationの章で解説していますので、興味がある方は、そちらも参照してみてください。
設定がすべて終了したら最初の画面まで戻り、「終了」ボタンを押していったん終了し、設定を保存してください。
ここでは、吸い出したゲームの起動方法について説明しています。
起動画面で「ロード」を押すとファイルの選択画面になりますので、そこで吸い出したISOファイルを選択するだけです。
一度起動したゲームは、起動画面の「履歴」タブに以下のように表示されますので、ここから選んでも起動できます。
また、「ゲーム」タブに「参照」というボタンがありますが、これを押すと「ゲーム」タブに選択したフォルダの中にあるゲームが一覧表示されるようになります。
しかし、初期設定では以下のようにサムネイルだけが表示されるため、ゲームが増えてくるとどれがどれだかわかりにくくなります。
その場合は、画面上にある三本線のマークを押すとゲームタイトルも表示されますので、分かりやすくなります。
以上で設定は終わりです。お疲れさまでした。
なお、ゲーム中に「一時停止」に設定したボタンを押すと、以下のようなメニューが開きます。
この画面で5か所までのステートセーブ(どこでもセーブ)機能が使えますし、ロードもここからできます。セーブすると、「ステートをロードする」ボタンが出てきます。
ゲームの終了も、ここの「メニューに戻る」ボタンからできます。
私の環境では、ある時点からPS4コントローラーが反応しなくなりました。
そのための回避方法をメモ書き程度ですが説明しておきます。
結論から言えば、PS4コントローラーとXbox360コントローラーを両方無線接続している場合、PS4コントローラーはどうやっても反応しなくなります。
ですので、両方のコントローラーを使いたい場合は、Xbox360コントローラーの方でPPSSPPのキー設定をやり直し、Xbox360コントローラーを利用するようにしてください。
どうしてもPS4コントローラーを使いたい場合は、Windowsのデバイス設定からXbox360コントローラーを削除するしかありませんでした。
当然、こうすればXbox360コントローラーは使用不能になりますので、他にこちらのコントローラーを使用するゲーム等がある場合は、この方法は使わないようにしてください。
PPSSPPは、自動である程度の高画質化処理を行ってくれる優れもののエミュレーターです。
しかし、手動で細かく設定することも可能でして、ある程度以上のグラフィックボードを搭載したゲーミングPCであれば、さらなる高画質化も可能です。
ここでは、その手法について説明しています。
やり方は簡単です。PPSSPPの画面の上部のメニューから「ゲームの設定」を開き、いくつか指定するだけです。
まず、「テクスチャフィルタリング」の項目から、「Auto Max Quality」と「Smart 2D Texture Filtering」を選択し、チェックを付けます。
次に、「テクスチャスケーリング」の項目から、お好みの倍率を指定します。倍率の下の部分は、「xBRZ」のままで問題ありません。
倍率を上げるほどなめらかに表示されるようになりますが、その分処理負荷も跳ね上がりますので、お使いの環境に合わせて設定してみてください。
以下にこの設定をする前後の結果を掲載しておきます。
縮小しているとかなり分かりにくいとは思いますが、手の部分あたりの画像のギザギザなどが軽減されていることが分かります。
高画質化手動設定前
高画質化手動設定後
以上で説明は終わりです。お疲れさまでした。
それでは、快適なPlayStation Portableエミュレーターの世界をお楽しみください。