先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第197話 産業革命を目指して
私の生誕二百周年祭の喧騒が、すっかりと収まりを見せた頃。
私は自分にできることで、何かお返しがしたいなと次第に考えるようになっていた。
ダイガクの自分の研究室で、いつものように独り言を呟きながら考えをまとめていく。
「やはり、私は研究でみんなの生活を向上させるのが、一番の恩返しでしょうね」
そう、結論付けた。
そこで、さらにその考えを進めていき、どのような研究内容にすれば、一番、生活が潤うようになるかを、自分の中に問いかける。
「魔力もーたーによって産業が発達し、生活の質が向上したのは事実です。しかし、これの最大の難点は、魔道具形式であるために高コストなことなのですよね……」
様々な産業に応用され始めてはいるのだが、魔力もーたーの高額な価格が問題になり始めており、普及の速度が思っていたほどには速くなっていない。
もう少し、一般的に広める方法はないかと、考えを進めていく。
「一番いいのは、『ディーゼルエンジン』を開発してしまうことなのですが……」
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンは内燃機関と呼ばれるものの一種であり、効率に優れるという利点がある。
しかし、実際に開発するにあたって、最大の難点になってくるのがその工作難易度である。
どうしても細かい部品が多くなってくるので、ある程度以上の工作技術の積み重ねがなければ、実現不可能である。
「と、なりますと、まだ工作難易度の低い『蒸気機関』ですかね?」
蒸気機関は外燃機関と呼ばれるものの一種である。内燃機関に比べると効率の面では落ちるのだが、部品の点数や細かさは緩和されるため、工作難易度は低くなる。
魔力ジドウシャの開発により、基礎的な工作技術が向上してきていると考えられるため、今なら作れるかもしれない。
「よし。ここは産業の父の二つ名に恥じぬように、本物の産業革命を目指して『蒸気機関』を開発してみましょう」
蒸気機関の開発において重要な要素となってくるのが、実は既に開発している火力発電所である。
あれも機関外部でお湯を沸かし、その蒸気を使ってタービンを回しているため、一種の外燃機関と呼べるものだ。
これをもう少し改良し、ピストンを上下させるように作り替えることができれば、様々な産業に応用可能な、安価な動力源が得られるはずだ。
「『蒸気機関』が実現できれば『機関車』も作れるようになりますから、大規模な『列車』輸送も可能になりますね」
魔力ジドウシャの登場により、魔力もーたーの有用性が広く認知されるようになった。それと同様に、蒸気機関で汽車を作れば、その有用性にみんな気づいてくれるはずだ。
「まあ、長い道のりになってくるのでしょうが、それでも『列車』が開発できれば国内の移動も簡単になります。そうなれば、ガイン自由都市は『ターミナル駅』として、さらなる発展が期待できるでしょう」
私はこの地が大きく発展した様子を思い浮かべ、気合を入れて研究を開始することを決定したのであった。