先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第205話 新たなおしどり夫婦
蒸気機関の発表の興奮が、まだ冷めやらぬ頃。
ヨシツネの結婚式が始まっていた。
ヨシツネには幼い頃から魔法の才能があり、本人の意欲もとても高かったことから、私も熱心に魔法を教えていた。
その結果、無詠唱魔法こそ使えなかったのだが、エストのように、かなり多彩な魔法を使いこなす優秀な魔術師に成長していた。
もちろん、私が教えた「いべんとはんどら」の魔法も使いこなしている。
ヨシツネは魔道具にも強い興味を示しており、この分野での才能も豊富であった。
「もし、領主にならなくてもいいのであれば、私は大おじい様に弟子入りして、ヒデオ工房で魔道具職人になりたかったですね」
このようなことを、ヨシツネは少し寂しそうな顔で語っていた。
(少しでも早く共和国を建国して、子孫たちに職業選択の自由を与えなくては)
私はこのように思い、野望を推し進めることを、また強く決意しなおしていた。
どちらかというとインドア派のヨシツネであったのだが、彼が生涯の伴侶として選んだのは、かなり活発なお嬢さんだった。
彼女はヘレナさんという名前で、赤毛をショートヘアにした、どこかローズさんの面影がある素敵な女性だ。
ヘレナさんは、美味しいものを食べるのが趣味だと公言しており、度々、ヨシツネを連れ出して、新しい評判のレストランへと繰り出していた。
そんな二人は順調にお付き合いを続け、昨年、正式に婚約していた。
積極的なヘレナさんは、人目も憚らずにヨシツネとスキンシップを図っていた。そのため、周囲には眉を顰めるものもいたのだが、本人たちはどこ吹く風であった。
「大おじい様とクリスさんのイチャイチャに比べたら、私たちなど可愛いものですよ?」
そのように、ヨシツネに指摘されることもあった。
「大おじい様の悪いところまで含めて、そっくりになりましたね」
父親のイサミは、このようなことを、苦笑しながら語っていた。
私はヘレナさんをローズさんに重ねていたのだが、周囲はどうやらクリスさんに似ていると認識しているらしい。
そんなヨシツネとヘレナさんも、今日、正式な夫婦となった。
ガイン自由都市に、新たなおしどり夫婦が誕生した瞬間でもあった。