先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第84話 メイの結婚式
私の里帰りから、しばらくの時が流れた頃。
メイは気持ちの整理がついたのか、ゴランさんを恋人として紹介してくれた。
その時の婚約の許可を取った際に、次のように言ってゴランさんに念を押していた。
「あなたは私がいないとだめそうだから、結婚してあげるのよ? 感謝しなさいね」
しかし、幸せそうな顔をしながら言われても、全く説得力がなかった。
(以前から思っていましたが、メイはいったい、どこのツンデレヒロインさんでしょうか?)
私はそのような感想を抱いていた。
エルクは、当初、メイをゴランさんの実家に嫁入りさせるつもりだったようだ。しかし、ゴランさんの実家が遠慮したため、急遽、領主館の近くに二人の新居を建設中だ。
メイも既に二十一歳になっており、年齢を考えて、婚約期間は二か月と短めに設定された。
そして、二か月後。メイの結婚式が始まった。
私は、幸せそうに花嫁衣裳を着ているメイと軽く会話を交わした後、必死に勉強していたゴランさんを労うために、彼の控室を訪ねた。
「ゴランさん、ご結婚おめでとうございます。やはり、二年にもわたって勉強したのは、無駄ではなかったですね」
「おじい様! ありがとうございます! あなた様のおかげで、今の私があります!!」
ゴランさんは既に感極まっていて、泣いてしまっている。そんな彼に、私はもっと幸せになって欲しくて、さらなる努力を勧める。
「メイは頭の良い殿方が理想ですから、さらに勉強すれば、もっと惚れてくれて、もっと幸せな結婚生活が送れると思いませんか?」
ゴランさんは大きく頷き、同意してくれる。
「はい。私もそう思います」
私もウンウンと頷き、続きを語る。
「では、また勉強したくなったら、いつでも私を訪ねてきてください。もうそろそろ、高等学校も開校するはずですから、その内容も併せて教えますよ」
ゴランさんは深く腰を折り、元気よく返事をしてくれる。
「ありがとうございます! おじい様! 必ずメイを幸せにして見せます!!」
メイを心から愛してくれているその姿に、私はとても心が温かくなり、泣きじゃくっているゴランさんに挨拶をしてから、そのまま退室した。
そうして結婚した二人であったが、新居の建設が間に合わなかったため、今は領主館の一室で、幸せな新婚生活を送っている。