先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第86話 増殖する家電製品
それから、少しばかりの時が過ぎ去った頃。
忙しさが少し落ち着いてきた私は、趣味として、再び新たな家電を開発していた。
次に開発を目指したのは、洗濯機だった。給水の魔道具とモーターの魔道具を合体させ、穴の開いた円筒に洗濯物を入れて回転させる構造である。
排水は、お風呂のように栓を抜いて行う。
脱水機能は、水を抜いた状態で円筒を回すことで行う仕組みにした。
また、洗濯用洗剤として、洗濯機に向いた粉石鹸の開発も同時進行で行っていた。
五か月ほどの開発期間を経て発売された「センタクキ」の魔道具は、レイゾウコほどのインパクトはもたらさなかったが、定期的に売れる定番商品となった。
その次に開発を目指したのが、掃除機の魔道具である。
これをしようと思いついたのは、以下の様に考えたからだ。
(和紙があるのですから、紙パックが作れるはずです)
風魔法を応用して、吸い込む機能は比較的簡単に実現できた。だが、効率の良いホースの開発に手間取る事になった。
一般的な布で作ったホースだと、布の目が粗すぎて風が抜けてしまい、効率がかなり悪かったのだ。
こちらも、やはり、五か月ほど試行錯誤を続け、高級雨具の素材として使われていた、沼大蜥蜴の皮を利用する事でなんとか完成に漕ぎつけた。
さすがに、手で持って扱えるほどには軽量化できなかったが、重たい業務用掃除機ぐらいには収める事ができた。
こうして発売された「ソウジキ」の魔道具も、また、ヒデオ工房の定番商品としてラインナップされた。
(これで、白物家電で再現できそうなものは、だいたい実現できましたかね?)
そのように感じた私は、これ以上の家電開発を一旦中止にして、高等学校の設立のための準備を中心に、労力と時間を割くようになっていった。