先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~
第158話 最初の火種
この頃になると、ダイガクでの研究成果が徐々に実用化され始めており、ガイン自由都市とその他の領地の間で、技術的な格差が広がりを見せるようになっていた。
そかし、他の貴族たちは、下賤な平民と森の蛮族が考えた下等な発明と見下していて、決して新技術を取り込もうとはしなかった。
そのため、経済的な格差も拡大を続けていくようになる。
例外は、ガイン自由都市との原油取引が急拡大しているセネブ村くらいのものである。
セネブ村は空前の好景気に沸き立っており、その潤沢な資金を利用した開発がすさまじい勢いで進行していた。
そのため、近いうちに町に発展するだろうと、もっぱらの評判になっている。
これらの要因により、ガイン自由都市へと移住を希望する平民たちが後を絶たなくなっていた。
それを面白く思わない貴族たちは、次第に移住を制限するようになり、平民たちへの締め付けを強化していった。
しかし、その結果、徐々に平民たちの間で不満がくすぶり始めるのである。
最初は小さな火種でしかなかったのだが、長い年月をかけてだんだんと大きく成長を続け、やがては巨大な紅蓮の炎となって燃え盛るのである。
後になって振り返った時、ここが平民と貴族の対立の分岐点であり、原点となるのであった。