Novels

先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~

第242話 デンワ交換機

 リスティン王国を打倒だとうしてから、一年ほどが経過けいかしていた頃ころ。

 地方ちほう公務員こうむいんの募集ぼしゅうも順調じゅんちょうに進んでいて、研修けんしゅうが修しゅう了りょうしたものから、順次じゅんじ、赴任ふにんしてもらっている状況じょうきょうだ。

 当初とうしょに比くらべると各所かくしょで若干じゃっかんの余裕よゆうが出てきたため、次の一手として、各地方の初等しょとう学校がっこうの先生も募集ぼしゅうを始めている。

 その過程かていで、各地の地方ちほう組織そしきにも連絡れんらくが取れた方がいいという指摘してきを受うけており、電話網でんわもうを全国に広げ始めている。ただ、地方には電気でんきが通かよっていないため、現在げんざいは石油を利用した自家じか発電はつでん施設しせつを設置せっちして凌しのいでいる。

 いずれは、新しい発電所はつでんしょも必要ひつようになってくるだろう。

 そこで、今後のことを見据みすえて、ガイン自由都市以外では交流こうりゅう電源でんげんを採用さいようすることとし、直流ちょくりゅう電流でんりゅうへの変換へんかん回路かいろの研究けんきゅうも始まっている。

 いずれはガイン自由都市でも交流こうりゅう電源でんげんへと切り替かえるつもりだ。とりあえず、各家庭かくかていに変換へんかん回路かいろを設置せっちすることで対応たいおうしようと考えている。

 電話網でんわもうを広げようとして問題もんだいになったのが、電話でんわ交換機こうかんきであった。

 今まではガイン自由都市の内部ないぶのみの電話網でんわもうであったことから、かろうじて人力じんりきでの交換こうかん作業さぎょうが間に合っていた。しかし、これが全国に広がりを見せるにつれ、人力じんりきでの作業さぎょうに遅延ちえんが発生はっせいし始めたのだ。

 そこで、自動じどうで交換こうかん作業さぎょうを行おこなう機械きかいの開発かいはつが進められている。

 この頃ころには論理ろんり回路かいろの研究けんきゅうも進んでおり、特定とくてい機能きのうに限定げんていした計算機けいさんきなら作れるのではないかと思われたためだ。

 つまり、ソフトウェアにあたる部分ぶぶんを論理ろんり回路かいろで実装じっそうした、専用せんようのコンピューターである。

 この交換機こうかんきが実用化じつようかされたら、いずれはプログラム可能かのうな汎用はんようのコンピューターも作れるようになるだろうと期待きたいしている。

(まあ、王国も打倒だとうしましたし、これ以上、私が無理むりに発展はってんさせる必要ひつようもありませんか)

 パソコンは当面とうめん無理むりだろうが、巨大きょだいなメインフレームと呼よばれる形態けいたいであれば、そのうち作れるようになるだろう。

(今後の市民しみんたちの研究けんきゅうに期待きたいしましょう)

 新あたらしい国造くにづくりはとても激務げきむになっているため、そろそろ癒いやしが欲ほしいなと思い始めていた。

「はぁ……。クリスさんとイチャコラしたい……」

 心の中だけで呟つぶやいたつもりだったのだが、願望がんぼうが強すぎて声こえに出てしまっていたらしい。

 それを聞いた周囲しゅういの官僚かんりょうたちから、クスクスと笑わらい声ごえが聞こえてきた。

「最近さいきん、臨時りんじ大統領だいとうりょうはとてもお疲つかれのご様子ようすですからね。お気持きもちはとても良く分わかるのですが、もう少しだけ、長期ちょうき休暇きゅうかは諦あきらめてください」

 そのように、真面目まじめに慰なぐさめてくれる人もいた。

「分わかっています。それに、どうしても我慢がまんできなくなったら、連絡れんらくして彼女の方から来てもらいますので」

 私は思わず顔かおを赤らめながらそのように答え、仕事しごとを再開さいかいしたのであった。